社内SEが悩み考えること

業務系システムがビジネスにより役立つように

SAPのデータを直接分析する難しさ

前回書いたように、あらゆる業務データを一元管理するのがSAPのキモです。であれば、そのデータを直接見て分析したり、次の戦略を練りたくなるのが経営陣の自然な希望でしょう。それができて投資対効果のバランスも取れるってモンです。
ところが、そう簡単に行かないのが多くのSAPユーザー企業での現実ではないでしょうか?

基本的な原因は、『入力→データベース→出力の関係が複雑すぎること』にあると思います。つまり、出力/分析するのに分かりやすい構造でデータベースという素材が提供されてれば良いのですが、SAPのデータはリレーショナルデータベースという構造と業務プロセスを数珠つなぎに関連付けるという特性が相まって、分析者が非常に扱いにくい状態といえます。よって、『分析したい観点をデータ構造に翻訳できるブリッジ役』が不可欠と言えます。

さらには、多くの企業で以下のような課題があるのではないでしょうか?
①計画対実績を分析したいが、計画データはSAPに入力していない、あるいはメッシュが粗い。
②製品別の分析をしたいが、品目マスタの属性情報が不十分で、分析業務に堪えられない。
③各組織のデータを重ね合わせていくと入力項目の漏れがある。
④マスタの自動名寄せができない。特に品目や科目。
いかがでしょうか?どれか一つでも当てはまると、システム上の直接データ分析は出来ない事態になります。要するに、『出力→データベース→入力』という逆算でシステムを見れて、さらに業務に落とし込める人材が必要なのですが、得てしてモジュール分業制のSAPだとコレがなかなか難しいですよね…

◼️まとめ
①分析がうまくいかないのは、データの体系化が不十分だから
②SAPで財務会計はうまくシステム化できても、管理会計はさらなる体系化や詳細化したデータが必要
③それを全体最適で設計できる人材が非常に不足している